戦略人事とは?進め方・社内体制・推進する際のポイント・事例を紹介
- 組織改善施策

戦略人事の意味とは?
戦略人事とは、企業戦略や企業のビジョンを達成するために人的資源や経営資源を活用して達成する為の人材マネジメントを行うことです。
具体的には、「次世代のリーダー育成」や「企業理念の実現」という経営課題に対して、採用・配置・育成・報酬・職場環境などあらゆる人事施策を活用して達成していくことを指します。
戦略人事と人事戦略の違い
戦略人事とは、企業戦略や企業ビジョンを達成するための取り組みであるのに対して、人事戦略は人事の管轄範囲における戦略であるため必ずしも企業戦略・ビジョンに密接に関わっている訳ではありません。
例えば、人事戦略の中で業務のアウトソーシングであったり採用手法を変更するといったことは戦略人事とは離れた取り組みになります。
戦略人事が必要とされている背景
戦略人事が必要とされている背景としては、終身雇用制度の崩壊、労働力人口の減少などにより「ヒト」の資源を調達・活用することの重要度が高まっていること、そしてビジネスにおいてもめまぐるしい速さで変化が起こっている事などを受けて、企業戦略と人事の活動を紐づけて考える必要性が増しています。
これまでは企業戦略と人事戦略を分断して考えられている企業もありましたが、経営メンバーに人事を管掌する役員を入れたり、育成計画や人員配置を企業戦略と紐づけて行うことが一般的になりつつあります。
日本における戦略人事に関する現状
画像参照元:人事の課題とキャリアに関する調査|HR総研
画像は、企業において戦略人事は重要であるかどうかの質問の回答結果です。
約8割の企業が重要であるという認識を持っていることが分かっています。
画像参照元:人事の課題とキャリアに関する調査|HR総研
それに対して、自社の人事部門は戦略人事の役割を果たせているかという質問に対しては、果たせていると回答した企業は15%ほどにとどまるなどと、日本においては重要性は認識できてはいるがまだきちんと取り組めていないというのが現状です。
戦略人事の進め方
戦略人事は、企業戦略から人事の活動に落とし込んでいきますので、以下のようなステップで進めていくのが一般的です。
- 経営戦略・ビジョンの策定
- 人的資源/経営資源を活用した戦術の策定
- 人材マネジメントの方針策定
- 制度設計やオペレーションの構築
- オペレーションの運用・定着・改善
ただ既存の部門を戦略人事に転換する際は、まずは活動を行う為のリソース確保が重要ですので、業務を洗い出してツールで効率化できるもの自動化できるものはとことん投資を行って改善を行うことが必要とされます。
戦略人事を行う際の体制
戦略人事を行う際の体制は、取り組む内容にも寄りますが、一般的に大きく3つの役割を必要とされます。
- プロジェクト責任者:全体戦略の策定や予算の確保、最終意思決定を行う
- プロジェクトリーダー:プロジェクトの計画策定、予実確認、定期的なレポートを実施
- 各事業部/各課の責任者or事業部付人事:各チームにおける取り組みの遂行、現場の意見の集約を実施
こういった体制で、戦略人事の取り組む内容によっては事業部の責任者の方や現場の方を巻き込むことが求められます。
戦略人事を進める際のポイント
戦略人事を進める際のポイントは、大きく6つあります。
- 戦略人事の目的とゴールを明確にすること
- 目的を達成する為の何を行うべきかロジックツリーで棚卸しをすること
- それぞれの取り組みに対して期日・目標を設定すること
- 情報を一元管理するとともに関係メンバーへ共有を行い、独立の動きにならないように注意すること
- 現場のメンバーに優先順位の高い取り組みという認識を持ってもらうこと
- 活動の時間を捻出するために、ITツールを活用すること
企業においても非常に重要な取り組みになりますので、従業員にもその意識を持って取り組んでもらえるような環境を整えていく必要があります。
戦略人事の事例
戦略人事に取り組んでいる企業の事例を4つ紹介します。
日清食品株式会社
「企業戦略達成に必要な人材の育成」が課題。
企業内大学を創設し、グローバル経営人材の育成を実施。
上記の候補者が200人まで増加。
日産自動車株式会社
「優秀なリーダーの発掘・育成」が課題。
各部署にスカウトを行う人材を配置し、その中からリーダー候補を選抜。
そこから育成計画を実行。
楽天株式会社
「経営戦略を実現する為の人材マネジメントの改変」が課題。
採用、配置、評価、育成、報酬、環境など全てにおいて、経営戦略を達成する為のものに変更。
味の素株式会社
「働きがいの提供」「従業員の自立的成長」が課題。
従業員にキャリアプランを作成してもらい、上司と定期的な面談を行うことによるキャリア開発を実施。
1年半の期間で300名以上の次期グローバルリーダー候補の育成に成功。
戦略人事を実現できるような社内環境を整えましょう
今回は、戦略人事を行う際のポイントや社内体制、事例について紹介しました。
企業戦略を実現するために非常に重要な活動ですので、リソースをしっかりと割いて行う必要があります。
組織改善サービス『ハタラクカルテ』では、「教育」や「適切な評価」など人材定着に結びつきの強い15要素48項目の組織/チームの状態を可視化し、その後の職場や組織改善に繋げることが可能です。
ぜひ戦略人事を行う際の業務効率化や自社のエンゲージメント向上の取り組みにご活用ください。
この記事を書いた人
ハタラクカルテ編集部