農業法人の組織づくりとは?動画マニュアル・1on1・ユニフォーム…若手社長が打ち出す数々の施策


- 業種
- 農業
- 企業規模
- 〜100名
- 課題
- 組織課題の可視化
導入前の課題
- 1on1で課題や要望はあがるが重要度・優先度の高い課題がわからなくなった
導入後の効果
- 現状が可視化され課題が整理された。従業員の強みを生かした施策実行を計画
「もっと聞いておけば早く解決したのに…」。1on1の頻度をあげた結果、本当の課題がわからなくなった
- 会社についてご紹介いただけますでしょうか?
青ネギを生産している農業法人になります。
私の父親が兼業農家でして、小さい頃から農業は身近で見ていました。ただ、私自身は最初から農業をしたいと思っていたわけではなく、以前は鋳物の製造に関わる仕事をしていたんです。
12,13年前に、父親が知人から相談を受けたことがきっかけで、青ネギの製造・販売始めることにしました。ビジネスとして面白いのではと思ったんです。すると、大手うどんメーカー様とのお取引も開始し、事業として軌道に乗ったため、2014年に法人化しました。青ネギは、年に3〜4回収穫ができる食材なので効率がよいんです。ビジネスとして高い価値を感じました。もともと淡路島でスタートしたのですが、生産量が追い付かなくなり、徳島に分社化したのが当社になります。
- 会社経営や組織をつくっていく活動としてどのような取組みをされていますか?
色々やっていますが、大きなものとしては、全従業員と定期的に実施している「1on1」が挙げられます。当初スタートしたときは、社員は半年に1回、パートさんは1年に1回のペースで実施していました。
ところが、1on1をするたびに毎回思うんです。「もっと早く聞いておけば解決したのに…」と。そうすれば、問題はおきずに済んだのにと。
そこで、正社員を3ヶ月に1回、パートさんを半年に1回と頻度を増やしました。しかしまたしても、「もっと早く聞いておけば…」という出来事がありました。現在は、社員が1ヶ月に1回、パートさんは3ヶ月に1回のペースになっています。
- かなり頻度を増やしたのですね。
そうなんです。ただその結果、課題がたくさん出てきたことで、なにが優先順位が高く、重要な課題なのかがわからなくなりました。共通した課題もあれば、個々人の課題もあります。全部フォローしてあげたいが、そうもいかない。組織として、緊急度の高い課題、重要度の高い課題をしっかり可視化して整理したいと思っていたときに、経営者仲間に相談したところ「ハタラクカルテ」をご紹介いただいて、すぐに使ってみようと思いました。
ハタラクカルテを実施して現状が整理。確信をもって施策を実行
- 実際に実施してみていかがでしたか?
課題を整理したいと思って実施したのですが、数値を見てかなり整理ができました。やっぱり、と腑に落ちることが多かったです。「ハタラクカルテ」をする前から取組んでいた事柄については良いスコアが出ており、取り組みが正しいと確認できたことも良かったです。
「ハタラクカルテ」のレポートで課題として挙げられていた「教育の体制」「メンタルヘルス」「やりがい」の3つについては、アンケートを実施する前から課題だと思っていて、すでに対応策については考えていたので納得が得られました。1on1も定期的に実施していたこともあり、どの従業員に、どんな対策をすべきかイメージもつきました。
- どんなアクションを実施されたのでしょうか?
「やりがい」については選果部のメンバーは、毎日黙々とおなじ仕事の繰り返しになりがちで、やりがいを感じにくいという点があります。そこで、力量に応じた賃金制度を導入したり、お客様からの商品の評価を伝える仕組みをつくったりして、やりがいの維持につながる施策を実行しています。また、ネギの皮むき作業と包装・梱包作業の2つのタスクをローテーションしながら、職場の環境を変えてみることをはじめました。
「教育の体制」については、制度がないこと、マニュアルがないことがいちばんの課題で、まずは2021年12月にキャリアアップ表を作成、運用を開始しました。また、農業は職人技のようなところがあって、業務内容のマニュアルがなく、作業方法や機械の操作なども属人的になりやすいので、動画でのマ
「メンタルヘルス」については、継続的に1on1を実施するのに加えて、外部のメンタルヘルスケアの専門の方を外部で契約していて、話を聞いてもらうことにしています。また、今後は研修の実施も検討しようと思っています。
- 若手メンバーにどんどん役割を持たせて、マニュアル作成などは良いですね!
実は、弊社のメンバーは、全員農業未経験者なんです。そして正社員9人中、半分が徳島県以外の出身者です。もともと農業以外のスキルや経験をもった人が多くて、多種多様なメンバーばかりです。元写真家もいれば、動画スキルが高い人、車の整備をしていた人もいます。とても面白いメンバーばかりですよ。
自分自身、農業はかっこいいというイメージがなかったので、ユニフォームもカッコよくして社員のモチベーションも高めるようにしています。
- 農業というと「私生活の両立」「業務量と時間的負担」といった部分はコントロールが難しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
そうですね、そこは昨年課題になったところで、部門責任者と一緒にかなり意識しながら改善に向けて活動をしています。具体的には無駄な作業を省くなどして、以前よりはかなり改善されているのですが、仕事柄、繁忙期には朝早くから、夜帰宅が遅くなることもあります。今後の繁忙期をどう対応していくか、まさに検討しているところです。
すべての従業員の「自己実現」を応援する組織づくりを目指したい
- 今後どんな組織づくりをしていきたいですか
社員には「人生一度きりなので、悔いのない生き方をして欲しい」と思っています。そのために、会社では自分の夢を見つけながら「自己実現」のために働いて欲しいと伝えています。ひとりひとり、いろんな夢があると思うんです。仕事でこうしたい、家族と幸せな家庭を築きたい。それを全部叶えてあげたいと思っています。
必要であれば、資格手当てや免許取得の手当ても会社が支給しています。社員には、受けたい研修があれば、会社が全額負担するのでどんどん学びに行って欲しいと伝えています。先日は東京に行き、土づくりの研修に参加した社員もいますね。
1on1でも仕事の話よりも、プライベートの話を中心に聞くようにしています。プライベートが充実しなかったら、仕事も充実しないので。ただ、やっぱり働いていると目の前のことがいっぱいいっぱいになり将来のことを考えられない、必死な人も多い。
でも僕としては、先のことを描いていなければ、今の時間を無駄にしているのではないかと思う。だからこそ、ワーク・ライフ・バランスも保ちながら、この会社で働く社員には全員自分の夢を持って欲しい。その支援ができる組織づくりをしていきたいと思っています。