エンゲージメントサーベイ成功の鍵は質問項目!厳選7ツールを徹底比較

  • 組織診断

作成日:2023/12/4
最終更新日:2023/12/4

「エンゲージメントサーベイをしたいけど、どんなツールを使えばいいかわからない…」

「エンゲージメントサーベイを実施しているけれど効率が悪く、便利に使えるツールを知りたい…」

 

このように悩んでいませんか?

 

エンゲージメントサーベイの質問項目に特別な決まりはなく、自社でサーベイを制作するのであれば社風や調査したい内容に合わせて自由に設定できます。一方、多忙なうえに専門知識に自信が持てないために迷ってしまう企業人事の方も多いようです。場合によっては現場改善に効果的なサーベイができない可能性もあるので注意しましょう。

 

今回は、エンゲージメントサーベイにおける効果的な質問項目を解説します。おすすめのエンゲージメントサーベイツールごとの質問項目にも触れるので、参考にしてみましょう。

エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントサーベイとは、自社で働く従業員のエンゲージメントレベルを調査する手法です。エンゲージメントは従業員が貢献心高く働いているかを表す指標であり、高ければ高いほど良好な状態と言えます。

エンゲージメントサーベイの概要

エンゲージメントサーベイは、従業員に対して簡単なアンケート形式で実施するのが一般的です。社内メールやチャットにサーベイURLを添付してオンライン上で回答してもらう方法から、紙で回答してもらって回収する方法まで、やり方は企業ごとに異なります。

業務効率化やペーパーレスによるコスト削減を視野に入れる場合、オンライン上でサーベイすることも可能です。

エンゲージメントサーベイを実施する背景

エンゲージメントサーベイを実施する背景として、下記が挙げられます。

 

・少子高齢化に伴う労働人口の減少

・終身雇用制の崩壊に伴う人材流動性の増加

・多様な働き方に伴う帰属意識の低下

 

労働人口の減少により働き手を取り合う「売り手市場」になっていることや、転職が当たり前になって人材流動性が高まったことを受け、多くの企業では優秀な人材を安定して雇用し続けることに課題を感じるようになりました。また、テレワークなど多様な働き方が認められるとともに、従業員の会社への帰属意識が下がりつつあります。

 

従業員エンゲージメントが高ければ簡単に離職されてしまうリスクを減らせるだけでなく、むしろ会社が危機的な状況にあっても積極的に行動してくれる人材を育成できると考えられます。人材の安定を図りたい企業こそ、従業員エンゲージメントの考え方を持つとよいでしょう。

エンゲージメントサーベイを導入する目的と効果

エンゲージメントサーベイを導入する目的と効果は、下記の通りです。

 

・従業員エンゲージメントの正確な可視化

・組織改善に向けたロードマップの考案

 

専用のツールを使うなど工夫を凝らしながらエンゲージメントサーベイができれば、部署(職種)・年代・役職・エリアごとなど、対象を細分化しながらの分析も可能です。結果、組織改善に向けたロードマップを作りやすくなり、効果的な施策を考案する際に役立ちます。闇雲な従業員エンゲージメント施策にしたくないときこそ、しっかりエンゲージメントサーベイしていきましょう。

エンゲージメントサーベイの質問項目の重要性

エンゲージメントサーベイが組織改善に活用できる結果を生み出せるかどうかは、質問項目により左右されます。自社の目的に合った質問項目にするためにも、まずは重要性を理解しておきましょう。

エンゲージメントサーベイの質問カテゴリ、質問項目、測定項目とは

エンゲージメントサーベイというと、どんな質問をするとよいのかが気になるところですが、自社で活用しやすいエンゲージメントサーベイを見つけるには、質問の内容だけでなく、質問カテゴリや測定項目も重要です。

質問カテゴリは、具体的な複数の質問内容(この記事では質問項目と呼びます)の属するカテゴリを指します。例えば経営に対するエンゲージメントを測定したい場合は「経営への信頼感」等が質問カテゴリとなることがあります。この質問カテゴリは、企業によって適切なものが異なってくることがあります。例えばフルリモートがメインの会社の場合、「オフィスの環境」への満足度よりも、「IT環境」への満足度の方が重要なこともあるでしょう。自社のエンゲージメントに大きく影響するカテゴリを検討・サーベイに設定する、あるいは、測定したカテゴリの中からフォーカスするものを、自社の方針と合わせて決定することが重要です。

質問項目は、具体的な質問内容のことを指します。例えば、「仕事のやりがい」という質問カテゴリに対して、「自分にしか出来ない業務を担当していると感じることがありますか」や、「自分の仕事に社会的意義を感じますか」という質問項目がありえるでしょう。

測定項目は、サーベイの結果から計測する指標を指します。「組織全体へのエンゲージメント」「所属チームへのエンゲージメント」「離職リスク指標」等、自社にとっての重要事項をサーベイの質問項目と紐づけた指標としたり、組織改善施策のPDCAを回すための結果指標として設定する事が重要です。エンゲージメントサーベイツールの一部は、測定項目と質問カテゴリが同じになるように設計されているようです。

 

質問項目だけでなく、質問カテゴリや測定項目のことも検討していけると理想的ですね。

質問項目がエンゲージメントに与える影響

エンゲージメントサーベイの質問項目次第では、正確にエンゲージメントを可視化できないことがあるので注意しましょう。

 

例えば、エンゲージメントサーベイと言いつつ「従業員満足度」を測るような質問項目になっていた場合、当然ながらエンゲージメントを可視化するのは難しくなります。「従業員満足度」は会社に満足しているという点を計測する意味ではエンゲージメントと同じですが、従業員満足度が高い人は必ずしも組織への貢献心が高いとは限りません。会社への愛着や貢献心が少ない場合に、給与・役職・待遇・福利厚生などの条件が少しでも悪くなると離職されやすくなるため、従業員満足度の指標をそのままエンゲージメントとして捉えることはできません。

 

エンゲージメントサーベイの目的を明確したうえで、目的に合ったサーベイができるよう、質問項目を設定する必要があります

質問項目検討のポイント

質問項目を検討する際は、下記のポイントに注意しましょう。

 

・目的に合った質問にする

・「はい」「いいえ」や点数で回答できるシンプルな問いにする

・質問の意味が受け手によってばらつかない、わかりやすいものにする

・施策に結びつけやすいものにする

 

分解能の高い(細かい内容がわかる)エンゲージメントサーベイにしたいからといって、質問項目を増やしすぎると現場の負担になるので注意しましょう。「本部のせいで時間が取られてしまう」「毎月のエンゲージメントサーベイにうんざりする」など、ネガティブな印象が根付く恐れがあります。

効果的な質問にすることはもちろん、現場目線で手軽に回答できる内容とボリュームにすることも意識することがポイントです。

エンゲージメントサーベイの質問カテゴリ・質問項目の例

ここでは、エンゲージメントサーベイの質問項目を質問カテゴリとともに紹介します。

企業文化と価値観に対する評価に関する質問項目

・経営陣が明確なビジョンを持っていて、自分も共感できる

・事業の方向性や戦略の方針に強い違和感がない

・年齢や性別に関わらず平等にチャレンジできる企業風土がある

・誰からの意見も積極的に吸い上げて検討する社風である

 

企業文化と価値観に対する納得度を測れる項目であり、組織に馴染んでいるかを可視化できます。また、従業員が求める企業文化を作れていないときにもマイナス評価が続くため、課題に気づくきっかけとしても役立ちます。

職務の充実感とモチベーションに関する質問項目

・良い仕事をしたときに上司や仲間から評価してもらえる

・自分が組織から何を期待されているか理解している

・透明性と客観性の高い人事評価制度がある

・常にモチベーションを感じながら働けている

 

仕事のやりがいを測れる項目であり、モチベーションの高低を可視化します。

成長とキャリア開発の機会に関する質問項目

・個人のスキルアップにつながる仕事ができている

・少しつずつでも成長を実感できる瞬間がある

・自分の働きに対して給与や待遇が妥当であると感じる

 

自己成長を実感できているか問う項目です。組織全体への貢献だけでなく個人のスキルアップやキャリアアップについて質問できるため、将来的なエンゲージメントについても可視化できます。

チームワークと協力関係に関する質問項目

・上司や同僚と円滑な関係性を築けている

・ハラスメントや職場いじめなど深刻な課題がある

・双方向のコミュニケーションが取りやすく心理的安全性が高い

・自分が困っているときは誰かが助けてくれる

 

チームワークと協力関係を測れる項目であり、社内コミュニケーションの密度や人間関係の良さを可視化できます。どんなに待遇がよくやりがいのある仕事でも、ここの項目で点数が低い人に長期間居続けてもらうのは難しいでしょう。経営層や人事では気づけない課題が隠されていることも多いです。

 

作業設備や環境に関する質問項目

・PCなどの作業設備が適切に用意されている

・作業がはかどるオフィス環境である

 

設備や作業環境に関する項目です。課題があると生産性に影響することもあります。また、解決しやすいケースもありますので、測定しておくとよいでしょう。

 

厳選7社のエンゲージメントサーベイツールの質問カテゴリ・質問項目を徹底比較

 

最後に、おすすめのエンゲージメントサーベイツールを紹介します。それぞれのツールで採用されている質問カテゴリ・質問項目に触れながら紹介するので、自社に導入した場合をイメージしながら確認してみましょう。

 

Wevox

【質問カテゴリ・測定項目】

・職務

・自己成長

・健康

・支援行動

・人間関係

・承認・期待

・理念・戦略・事業

・組織風土

・待遇・制度・環境

 

【質問項目】

デフォルト状態では、回答期間に合わせて下記の質問数が用意されています。

 

・4週間で16問

・2週間で8問

・毎週4問

※詳細な質問項目については記載なし

 

Wevoxでは追加料金なしでオリジナルの質問項目を作成することができ、便利なテンプレートも活用できます。デフォルトでは設定されていない、ミッションへの浸透度やハラスメントに関するサーベイを追加したいときに活用してみましょう。

 

(「エンゲージメントのキードライバーとは | Wevox ヘルプセンター」(https://intercom.help/wevox/ja/articles/1583768-エンゲージメントのキードライバーとは)参照日:2023/11/28)

 

ラフールサーベイ

【質問項目】

・ディープサーベイの場合、154問(約10~15分)

・ショートサーベイの場合、19問(約3分)

※詳細な質問項目については記載なし

 

【質問カテゴリ・測定項目】

 

ディープサーベイの場合、下記の以下の6カテゴリの数値化が可能です。

・心と体

・エンゲージメント

・仕事内容

・人間関係

・組織との関係

・組織の理解

 

ラフールサーベイでは、厚生労働省準拠のストレスチェックやESG施策チェック分析が可能な質問項目を準備しています。

短時間で回答を完了できるため高頻度な調査に適した「ショートサーベイ」と、多数の質問項目で本音を深掘りできる「ディープサーベイ」の機能がどちらも搭載されているのがポイント。同じ質問項目を繰り返しながら定点観測のように使えば推移がわかりやすく、従業員の変化に気づきやすくなります。

 

(「組織改善ツール |ラフールサーベイ」(https://survey.lafool.jp/wp-content/uploads/2021/01/ラフールサーベイ分析結果マニュアル_200119.pdf)参照日:2023/11/21)

Geppo

【質問項目】

個人サーベイ

・仕事の満足度(Q1 仕事に対する満足度はいかがですか?)

・人間関係(Q2 あなたの職場の人間関係は良好ですか?)

・健康状態(Q3 最近、よく眠れていますか?)

 

組織サーベイ

詳細記載なし

 

Geppoの個人サーベイは高頻度かつ小規模にエンゲージメントサーベイすることで変化を定点観測することを重視しており、デフォルトでの質問項目は「仕事の満足度」「人間関係」「健康状態」の3つに絞られています。特に退職・休職リスクの可視化に強く、全国就業実態調査(JPSED)を元にした、3つの質問で多くの人事課題を網羅できるのがポイントです。

4問目は自由に設定できるので、自社で課題となっている内容を追加するなど工夫してみましょう。

 

(「Geppo ヘルプページ」(https://support.geppo.jp/knowledge/extra-questions/answer

「Geppo|パルスサーベイとは何か?導入のメリットから、ES(従業員満足度)向上につながる運用方法まで徹底解説」(https://www.geppo.jp/blog/employee-pulse-surveys

)参照日:2023/11/21)

バヅクリエンゲージメント

【質問カテゴリ・質問項目】

12問

※詳細な質問項目については記載なし

 

バヅクリエンゲージメントの質問項目は、人的資本経営のISO30414に準拠した内容になるよう設計されています。サーベイへの平均回答時間は60秒程度と現場に与える負担も少なく、パソコン・スマートフォン以外に紙での回答・回収にも対応しています。

問い合わせ後には事前のデモンストレーションを受けることもできるので、活用していきましょう。

 

(「バヅクリ | エンゲージメントサーベイと研修・イベントで組織改善 | バヅクリ | エンゲージメントサーベイと研修・イベントで組織改善」(https://buzzkuri.com/)参照日:2023/11/21)


ミキワメウェルビーイング

【質問カテゴリ・質問項目例】

 

■経営・組織との関わり

・今の経営方針や事業部のミッションに共感している

・この組織に関われることを嬉しく思う

 

■人事評価・キャリア形成

・今後の自分のキャリアに役に立つ仕事ができている

・個人の知識や能力が高められる機会が多い

 

■労働条件・待遇

・仕事に追われて、休息を十分に取れていない

 

■仕事に対する熱意・誇り

・今の仕事に責任ややりがいを感じる

 

■人間関係・コミュニケーション

・上司や社内のメンバーとの意思疎通は足りている

 

ミキワメウェルビーイングは、月に1回のエンゲージメントサーベイを実施できます

社員やチームのコンディションを時系列ごとに確認できるなど、使いやすい機能も充実しています。また、質問に従業員がフリーコメントを追加することもでき、生の声を吸い上げやすいのも特徴です。

 

(「エンゲージメントサーベイ5つの質問項目と質問例|運用の注意点も解説|ミキワメラボ(https://www.recme.jp/lab/entry/engagement-survey-question-items/)参照日:2023/11/28)

ハタラクカルテ®

【質問カテゴリ】

 

■組織について

・IT、作業設備の充実

・快適な職場環境

・経営への信頼

・最適な人員配置

・教育の体制

・多様な働き方

・適切な評価

 

■部署について

・良好な人間関係

・上司との関係

・業務量と時間的負担

・休暇の取りやすさ

・私生活との両立

 

■個人について

・やりがい

・メンタルヘルス

・フィジカルヘルス

 

【質問項目】

記載なし

 

ハタラクカルテでは、組織、部署、個人の3視点15要素の質問カテゴリで総合的なサーベイが可能です。

日本大学と共同開発した質問項目を搭載しており、統計的に人材定着、活躍、離職防止などと相関の強い     測定項目で     結果を表示できるのもポイント。     

なお、回答した結果に応じて興味関心の強いカテゴリについて深堀を行う設問が自動生成されるため、「はい」「いいえ」や点数だけの回答だけでは伝わらない本音を集約したいときにも便利です。また、最大で200個分のカスタマイズ質問項目 を準備することもでき、フレキシブルに使えるのが魅力です。               

 

(「組織サーベイ・組織改善ツール ハタラクカルテ」(https://hataraku-karte.jp/)参照日:2023/11/21)

カオナビ

【パルスサーベイ機能に初期設定されている質問項目の質問カテゴリ】

・「体調」

・「人間関係」

・「業務」

 

【質問項目】

記載なし

 

カオナビでは、パルスサーベイ機能が供えられており、初期設定でパルスサーベイに適切な質問項目が3つ備えられています。質問数や質問内容は自由に変更可能となっているので、自社にあった使い方も出来そうです。パルスサーベイの他にも社内アンケート機能があり、エンゲージメントサーベイとして活用可能です。このアンケート機能の質問項目は、基本情報から動機付け要因、衛生要因に至るまで多岐にわたるテンプレートを利用したり、自社に合わせて自由にカスタマイズすることも可能です。質問の種類や頻度も自由に設定でき、収集したデータはクロス集計やグラフ表示で分析できるため、組織の深層的な課題解決に役立ちます

 

(「定期的なアンケートからコンディションを把握。|パルスサーベイ(Pulse Survey)|カオナビ【シェアNo.1】社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム」(https://www.kaonavi.jp/func/pulsesurvey/)参照日:2023/11/28)

 

(「社員の“声”を集めるアンケートを自在に作成。|社員アンケート(Voice Note)|カオナビ【シェアNo.1】社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム」(https://www.kaonavi.jp/func/voicenote/)参照日:2023/11/28)

 

まとめ ~エンゲージメントサーベイ成功の鍵は質問項目!ツールを徹底比較~

エンゲージメントサーベイを成功させるには、従業員エンゲージメントを正確に可視化できるような質問項目を準備することが大切です。また、現場に負担をかけない程度の質問ボリュームに調整したり、定点観測も視野に入れて回答しやすい質問にするなど、工夫すべきポイントも多いのでチェックしておきましょう。

 

既に開発されているエンゲージメントサーベイツールであれば、デフォルトの質問テンプレートを活用しながらカスタマイズできるツールもあるので、活用していきましょう。自社で1から構築するのは難しいと感じるのであれば、ツールを上手に使うのがおすすめです。

この記事を書いた人

haku.ohsumi@okan.jp

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